しかし自分の場合はデッドエンドを2年半前に登ったが、直後に触ったテッシーのあまりの悪さ(いま思えば純然たる初段の洗礼)に打ちひしがられ、それきりになっていた。
厳密に言えば、それから一年後に久々に触ったもののやはり進める気配がなかった。
そんな勅使河原美加の半生と向き合うきっかけとなったのは、先日の素登りRPの際、スポットしてくれたANBさんとの会話から生まれた。
ANBさん "次は何をトライするんですか?"
自分 "そうですねー、宿題になってるテッシーと、それから鵜とか。あと肺魚です"
この会話の時は久々の初段かつ高度のある岩を登ったので興奮冷めやらない状態だったから半ば頭真っ白な状態で口から出てきたものだった。
帰り道、無意識に口から出てきた勅使河原という課題に、そろそろ腕試ししたくなっている自分に気がついた。
翌週、早速朝イチ一本勝負に繰り出した。
7時前にデッドエンドに到着したら既に一名の先客がいた。
やたらと羽虫が飛び交っている。泣
急に気温が上昇して卵から孵ったのか、とにかくすごい数だったが忌まわしい蚊やブヨよりはマシだと特に気にしないことにした。
そして一年半ぶりにこの課題と対峙した。テッシーは吹っ飛んで落ちる要素がほぼ無いため、的確に配置すればパッド一枚で良い。むしろ無くてもいける。
スタート。
ここからムーブが別れるのもテッシー。正体かキョン。
自分は正体の方がシックリ来るので正体で離陸。右手はアンダーではなく上からホールディング。
が、しかし初手の三角ポケットには届くも、俵持ちが上手くハマらない。というよりパツパツすぎるので指をねじ込む高さが不充分だ。
気合いでねじ込んでそこからのシーケンスに入るも、全てギリギリこなしてる感じで、ポジティブなイメージになれない。今までと同じだ。
1時間経過、そろそろ帰る時間だ。
"やっぱりこの課題は俺には無理かな"
と諦め撤収しようとした。
でも何も収穫無しというのも虚しいので、スタートをいくつか試す事にした。
まずは正体で右手アンダー。これは正体で右手上持ちと変わらなかった。
次にキョンで右手上持ち。
これが、なんと高度が増した!
٩( ᐛ )و
その事によって初手ポケットへの俵ねじ込みに余裕ができ、正確にホールディングできた!
ここからは一気にこの課題が別物に感じ、初手ポケットが持てると、その後のムーブが快適になった。いかに、これが持てていなかったかが分かった。
ちなみに自分の俵はこんなんです⬇︎
人差し指、中指、薬指いわゆるタンデュは一般的な俵持ち。
気がついたポイントは、二つ。
・親指と小指も俵三本を脇から押さえ込むように掌を固めること。
・俵三本の第2関節はガチガチ固めず、多少バネが効くようにしておくこと
核心の右カチ取りのムーブまで持ち込んだが、こうも初手の俵が極まってると"棚にハイステップ"しか頭に無かったが"カチへランジ"が頭をよぎった。
ランジは、師匠が成功したムーブで完登に立ち会っていたのだが、あの強烈なムーブは自分には無理だと思い込んでいた。
この日は保持力もヨレてきていたので、ランジ発射まで出来なかったが、どうせならこの課題はランジで登ったるぜ、と心に決めた。
翌週末もテッシーと決めたので、このランジを練習しなければ、とboulcomの110°で課題を設定しひたすら打ち込んだ。テッシーより、右カチはやや高めに設定して飛距離に慣れるようにした。"パツパツからのランジ"が核心なのだが、いかに少ないタメ、正確には足と腕の極めて少ない屈伸で跳躍しなければならない。自分なりに考え、発勁のセオリーを盛り込むことにした。発勁は寸勁が有名で、例えば2cmの正拳突きで板を割る、のようなものだ。説明するにはあまりにも素人すぎるので割愛します。
ランジの直前に保持している両手両足つまり4点を基点にして体内のチカラ(勁)を巡らしランジする。
簡単に言うと、一番反発力を作れる接触点の足 → 両手 → また戻って足 という順番にチカラを体幹から逃げないよえに巡らすイメージ。
これが発勁かというと当然違うんだろうけど(笑)、少ないモーションで最大限の動作を作り出すという点は発勁だと思う。
ともかく、これを練習して今まで出来なかったような少ないタメのランジで遠いカチを取る事は出来るようになった(というか慣れた)。
そして訪れた週末。
前回よりやや早く御岳の発電所駐車場に着いた。
1トライでも多く出来るように何も考えず荷造りしてデッドエンドへ向かう。
※この"何も考えず"が残念な方向に向かうのだけど
到着すると既に先客が2名。お一人は前回ご一緒した方だった。聞けば八王子のロックビーンズがホームらしい。
挨拶がてら会話すると自然と体もほぐれる感覚があった。それからラジオ体操をする。これ、動的ストレッチとしてはかなり完成度高いようです。
そして準備もすぐに済ませ、テッシー完登DAYにすべく取り付く。
先ずは初手の三角ポケット。これは前回きまったキョンでバッチリ。俵をねじ込む。その後の発車前の右カチもスムーズ。ここまでは前回と同じ。
今日はフレッシュだぜ、どうだ? と核心の右ポケットカチを見上げた。
"近い イケる"
と感じた。ジムでのトレーニングが活きて、とても近く見えた。そこからは瑞牆の指人形のように、"飛びすぎない" "置いてくる" を意識して発勁ランジ。
発射が難なく出来た!
あとは、精度のみ。今日で登れる、という感覚しかなかった。
本気トライすべく、自作のショートパンツに履き替えようとしたとき、車の助手席に、置きっ放しにしたことが発覚。_| ̄|○
急いで車を後にした事が仇となった、、、
落ち着いて、調整をしながら5便目くらいだろうか、核心が止まった。そこからは無心でリップを押さえる。
と、ポイントがずれたのか、足を差し込む初手ポケットが見えない。リップのポイントを間違うと、岩と自らの間にスペースが作れず、ホールドを見つけられなかった 泣
この便はフォール。
しかしもうこの課題の全貌は明らかになった。
次に核心を止めたら、、、、
と、10便目あたりで核心のカチが再度止まった!
"A half Mika Teshigawara's life / V7" at Mitake in Japan from daichi sano on Vimeo.
そのままリップのポイントも間違わず、良いスローパーを押さえ込む。リップのポイントさえ間違わなければ、マントルは簡単。ちょいと奥には良いスローパーが沢山ある。
やや強引にマントルを返し、完登した。
長かった。
先輩の完登を目の当たりにした2年半前。
いつか、、、と思っていたときが訪れた☺︎
全く不可能だと思って能力に制限をしていた事を気づかせてくれた課題となった。課題がクライマーを成長させてくれるんだな。。。
追記
妻と約束した帰宅時刻を30分オーバーしてしまったのが反省点。ごめんなさい!



